振袖火事
1670年江戸時代、「明暦の大火」という大火事が起こりました。
これは別名「振袖火事」と呼ばれています。
この火事は、江戸を半分以上焼き尽くし、
死者は10万人にものぼりました。
この火事が「振袖火事」と呼ばれるのには
こんなお話があるのです。
江戸に「お菊」という娘がいました。
お菊は、あるところで若い男性にひとめぼれ
が、どこの誰かもわかりません。
せめてものなぐさみにと、その男性が着ていた着物と
同じ柄の振袖を作りました。
お菊はその男性に会いたくて会いたくて仕方がありません。
恋わずらいのため、体をどんどんやせ細り、
とうとう死んでしまったのです。
お菊の両親は嘆き悲しみました。
そして娘が気に入っていた振袖を、
娘のお墓の上に置いてあげたのです。
当時、お寺で働く男性達は、お墓の上に置いてある物は
貰ってもいいという風習がありました。
お菊の振袖は、ある男の手に渡り、売られたのです。
売られていたこの振袖を気に入って買ったのが「お花」という娘
お花はこの振袖をとても気に入り、毎日着ていました。
が、お花が突然死んでしまったのです。
お花の両親は、お花が気に入っていた振袖を
お墓の上に置いてあげました。
お墓で働いていた男たちは「この振袖、こないだもあったよな」
と、訝しがりましたが、またも売り飛ばしたのです。
次にこの振袖を買ったのは「梅乃」
が、梅乃も突然死んでしまったのです。
そして同じく、両親は梅乃のお墓にこの着物を置きました。
そこへ偶然お菊とお花の両親が墓参りに。
すると、自分の娘が気に入っていた振袖が
他の人のお墓の上にあるのに驚きました。
よくよく話しを聞くと、この振袖を着た娘が3人とも死んでいる
ということがわかり、3人の両親はお寺の住職に相談したのです。
話しを聞いた住職は「お焚きあげ」をすることに
住職が炎の中へ振袖を投げ込みました。
すると!
突然強風が吹き、火がついたままの振袖が
寺の本堂へ飛んでいったのです。
振袖は江戸中へ舞って行きました。
火はたちまち江戸中を包み込み、
10万人以上もの死者を出したのです。
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